例えばですね・・・家の外から薄暗い部屋の中を窓ガラス1枚通して覗いたときと、同じ部屋を窓ガラス3枚通して覗いたときの違いを想像してみてください。
どちらもじっくり目を凝らせば、だいたい部屋の中の様子が見えるくらいだとしましょう。
そこで、部屋の奥に貼ってあるポスターの小さな文字や、床に落ちているコーヒー豆のようなものを見つけようとしたら、窓ガラス1枚よりも3枚のほうがちょっと厳しそうじゃありませんか?
窓ガラスが多いために暗いという理由もありますが、目が暗さに慣れればその点はほぼ無視できます。
窓ガラス3枚で見えにくいのは、多くのガラスを通して見ることで像のコントラストが落ちてしまったためなのです。
写真を撮るという行為で考えれば、窓ガラスが多いことによる光量のロスは露出を変えることでカバーできます。目が慣れたのと同じ状態です。
しかし、たくさんの窓ガラスによって失われたコントラストは、例えレタッチでコントラストを上げたとしても完全に浮かび上がることはありません。
なぜなら、暗部の像そのものがカメラまで届いていないからです。見えないものは写らない、ということです。
窓ガラスをカメラの交換レンズに置き換えて考えれば、ほぼ同じことが言えます。
たった5〜6枚のレンズで構成された50mmの単焦点と、20枚近いレンズで構成された高倍率ズームでは、レンズを通して得られるコントラスト(明暗差)に少なくない違いがあるのです。
もちろん、レンズの素材やコーティングによってその差を縮めることは可能です。しかし物理的にまったく同じにはなり得ないものです。レンズの構成枚数が多いということは、コントラストの損失が大きいということなのです。
難しいことを書きましたが、「ヌケが良い」という言葉を簡単に言い換えるなら「良く見える」ということです。
目の前の窓をすべて開け放ったときのような、スッキリとした見え方、写り方とも言えましょう。
安価な50mm単焦点の写りがいいことも、高価なズームレンズはコーティングが凝っていることも、そういった理由からなんです。
うーん、うまく伝わったでしょうか・・・?